2016年3月 トレード歴49ヶ月(素人の相談2、「勝ち続ける意志力」)


2016年3月

※2016年3月当時の売買日記を読みながら作成(図も当時のものをそのまま転載)。

〇~3月31日
・引き続き、デイトレの統計を取っていった。
※統計を取り続けていく内に、サインの先端に注目して統計を取るようになった(それまでは、2陰線or3陰線→陽線を淡々と全て記録していたが、一番最後に出たサインがLCになってない場合は統計には記録しないようになった。例えば、2陰線が出て、LCに掛からず上昇していってから2陰線が出ても、後者は記録しないようになった)。「先端を記録せよ」ということが、個人的には重要な概念になっていった。
※注:機械的に淡々と統計を取るのではなく、裁量(都合がよくなってしまう……)で統計を取って「おお、すげえ!ほら、大丈夫だぜ。入ろうぜ?」とやっていたのだが……。この時期の統計を読み返していると、恥ずかしい。ただ、間違った方向へ努力したことも、後から振り返ってみればいい薬になったかと。それに、毎日継続していったことによって、分かってきたこともたくさんあったわけで。

※この時期に取っていたデイトレ統計の例。

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・それで、この3ヶ月の統計によると、3%:+218.49%、5%:+350.48%、7%:+395.88%、保有:+416.04%とのことだが。
※注:あり得ない。この半分も行っていたら、相当良い方だろう。いかに都合の良い統計を取っていたか。

 


素人の相談2

(前回からの続き)

ほんの1~2時間位の話し合いだったにも関わらず、衝撃的なことがたくさんありました。

長期投資ということだったんで、日本のマクロ経済見通しについての話もしたりしました。日本の人口動態がどうのこうの、2020オリンピックまでにどうのこうの……。そして、日本の未来は経済的には終わってるということを説明したら、驚かれたという……。株をやるのに、しかも長期投資目的なのに、日本の終わってる人口動態すら知らないとは……。

外人に「日本凄い!」と言わせてる気持ち悪い番組が、どの層に需要があるのかが何となく分かった気がしました。そもそも、若者はテレビを見ないし、不景気の時代しか知らない若者は「日本凄い!」なんて言っても共感しないよなと。あれって、高齢者が喜んで見てたんだなと。

 

新興銘柄がどうのこうのって話に及んだときに、「ソフトバンクみたいなか」と言ったのを私は聞き逃しませんでした。時価総額がトヨタに次ぐ規模であるソフトバンクが新興銘柄という認識の人に、何をどう教えればいいんでしょうか?せめて、ガンホーやミクシィにして欲しかった……。

 

パナソニックの話に及んだときに、(何を話しても無駄だと)ほとんど投げやりになって、「パナは、テスラの電池作ってるし、長期に持ってることを~(意訳:とにかく何もせず持ってろ!)」と言ったら、テスラについて知らないようでした。 恐らく、未だにパナソニックの主要事業が白物家電と思ってるパターンだったんだと思います。

 

そして、極めつけが、配当についての話に及んだときのことです。これはさすがにノックアウトされそうになりました。

パナの配当はいくらかと聞いてみたら、「年20何%」らしいんですよ。

「(はあ?いや、あり得ねえだろ!。年20%って、複利10年だったらどんだけ……。だったら、パナソニックの株を持ってるだけで、老後の心配をする高齢者がいなくなっとるわ!パナソニックはどんだけ高齢者のエンジェルなんだ!)」と心の中でツッコミを入れつつ、「配当金÷株価。パナの場合は年間20円÷約1000円だから、年利約2%。小学生でも計算出来る(キリっ!)」と説明しても、「そんなはずはない!」と抵抗したため、「「ヤフーファイナンス パナソニック 配当 年利」でgoogleさんに聞いてみましょうか、おじいちゃん」と、これでようやく納得してくれました。

ただこれは、年2%と年20%がどれだけ違うかが分からないのは、私の祖父に限らず、教育の問題だろうなあと。高校か大学で金融教育を導入した方が絶対良い。

 

あと、これはこの日の会話でのことではないんですが、私の母親が祖父に「ローソク足って知ってる?」と聞いたら、「チ〇ポが腐る病気」と答えたみたいなんですよ。ローソク足は、日本人が江戸時代に開発して(本間宗久が開発したと言われ、堂島の米取引で使われるようになった)、金融の歴史に大きな影響を与えた日本発の偉大な発明の一つなんですがね……。

 

これが赤の他人だったら、「養分乙ww」で終わる笑い話になるんだけど、笑いごとじゃねえんだ!身内が養分になりかけている話なんだ!しかも、「今こそ株をやらなければいけない!」って信念で凝り固まってしまっている。人間の信念を変えるのがどんだけ難儀なことか考えてみやがれ!

とまあ、私も全力を尽くして、出来る限りのアドバイスはしたんですが……。でもやっぱり、他人の信念を変えるのは無理だなと。

ただ、最低限、「損失が膨らんでも追加資金を入れてナンピンするのだけは絶対にやめとけ」と、(祖父の資金管理をしている周りの人に)言っておきました。

で、これは自分のコンプレックスを株で埋めよう、自分の実力を証明しようとしているパターンだと思います。だって、1000万あったら、株をやる必要なんてないだろうに。ローン完済済みの持ち家があって家賃分の生活コストも掛からないし、まだ自営業で働いていて国民年金も出ている。心理的リスクを負ってまで、これ以上資産を増やす必要なんてないだろうに。これから株が気になって、日々の楽しみを楽しめなくなるリスクが生まれてしまう。たかが株価の値動きで、人生を楽しめなくなるリスクを抱えてしまう。本当にもったいないなあと。

それと、こんな近くに株の専門家がいるのに、全く活用出来なかったということ。自分のコンプレックスを埋めたいがために、専門家の意見をそのまま鵜呑みにすればいいのにそれをしない。一方で、銀行や証券会社、保険屋は信じてしまう(営業マンが持ち上げてくれるからね)。

結局、いくら近くに専門家がいても、その人の器が小さいと活用出来ないんだなあと。人間社会、上手く出来てる。人脈の重要性が叫ばれているけど、その人脈を活用出来るかどうかは、結局、自分次第なんだなと。身内の話だけど、「こうはなりたくない」と思ってしまいました。

だから、少なくとも私は、他の人の専門スキルをなるべくリスペクトしようと思いました。

どんだけ泣きたい夜を過ごして、どんだけ未来が不安でも、それでもこの道しかないと鍛えて身に付けてきた専門スキル。それが全く尊重されない悲しさ。

当てたとしてもリスペクトされないし、それどころか外したら……。プロでも普通に間違えるということが理解されていない。確率的思考を理解(≠習得)すらしてない人には、説明のしようがない。

この件で、もう素人の相談に乗るのは一生やめることにしました。余りにも馬鹿らしい。それは、自分を傷付けることにしかならない。

これから一生、株についてのアドバイスを求められたら、誰に対しても「やめとけ」と言います。責任を負えないし、そもそも大数の法則の概念を知ってすらいない初心者の相手をしたくない。トレーダーであることを隠してすらおきたい。世界一難しいゲームなのに、自分だけは例外に稼げると思ってる人が余りにも多過ぎる。

ただ、この経験から得たものもたくさんありました。まず、(祖父を含めて)家族から圧倒的な信頼を得るようになったことです。そして、この体験から、素人との圧倒的な意識の差を実感したことで、「プロのトレーダーって滅茶苦茶格好ええんだな……」と初めて自分に対して思えるようになったことです。

だから、全力で自分に出来る限りのアドバイスをしたことは、本当に良かったです。非常に有意義な体験をすることが出来ました。

 

 

書評:「勝ち続ける意志力」

「勝ち続ける意志力」梅原大吾

「世界一長く賞金を稼ぎ続けているプロゲーマー」としてギネスブックにも載っている梅原大吾さんが成長について書いた本です。

トレーダーになるということは、あるマーケットのプロゲーマーになることと同じです。さすがに、ウメハラレベルにならなければメシが食えないほど難しいわけではありませんが、相当厳しい道のりになります。

この本で首尾一貫している主張は、”一番大事なのは勝つことではなく、成長することである”というものです。結果は目標にはなるけど、目的はあくまで成長することにあると。

このような成長思考はトレーダーにとっても不可欠なものです。と言うか、この思考がなければ、一定のスキルが身に付くまで結果が出ない時期が長いこと続くトレーダーはやってられません。