ピカイアとアノマロカリス


私が勇気付けられてきたエピソードがあります(なお、このエピソードは現在ではもう少し別の説が有力になっているようです)。

それは、種の進化の話。生物の歴史上、進化してきた種は、淘汰寸前にまで追い込まれた弱小種である。逆に、その時代の頂点にいた生物が進化するということはなく、むしろ淘汰されている。弱小種の大半は淘汰されてしまう。でも、優越種も必ず淘汰される。そして、進化の可能性は弱小種にしか用意されていない。

その一例として、5億年前のカンブリア紀に生態ピラミッドの頂点に君臨していたアノマロカリスは謎の絶滅を遂げ、アノマロカリスに淘汰寸前にまで追い詰められていたピカイアは生き残った。アノマロカリスが世界中の海を支配していて、ピカイアは入り江の一部に追い詰められていた。にも関わらず、正義のアノマロカリスは絶滅して、悪のピカイアは生き延びた。

では、なぜにピカイアは生き延びることが出来たのか。それは、アノマロカリスの強力な触手攻撃から生き延びるために、背骨を発達させたから。そして、一部のピカイアが魚類へと進化した。これはセキツイ動物が誕生した瞬間であり、ピカイアの背骨が発達していなければ、人類は誕生しなかった。

ただ、ピカイアはアノマロカリスに逆襲したわけだけど、ピカイア以外の弱小種はほとんど絶滅してしまった。だから、自分自身とピカイアを重ねるのは、宝くじが当たるのを期待するようなもの。それでも、どうせ淘汰されるなら、ピカイアみたいに足掻いてみようぜと。背骨を発達させてみようぜと。

支配者は下剋上を恐れているから、いわゆる下流にはさっさと諦めて欲しいんですね。社会の構成員は支配者に都合良く洗脳されてるから、社会はマイノリティーに対して「自己責任」「努力不足」「甘え」のオンパレードで、まともに話を聞いてくれません(この3語、自分達に跳ね返ってきてることに気付いてるんだろうか……)。逆襲しようとしても、味方がいないんですね。マイノリティーの味方は、ピカイアの逆襲物語位しかない。

めっさストレス溜まると思います。私自身、「この糞社会が、滅びてしまえ!」って何度思ったか分からない。でも、それでも、仕返しはすべきではない。逆襲の目的は、自分自身が幸せに生きることなんであって、仕返しすることや立場を逆転させることではない。対等であればいいじゃないですか。ピカイアはアノマロカリスを攻撃するための牙は発達させなかった。あくまで、アノマロカリスの触手攻撃を防ぐための背骨を発達させた。

ちなみに 、ピカイアとアノマロカリスの物語には続きがあって、実はアノマロカリスはカンブリア紀には絶滅していなくて、オルドビス紀にも生息していたことが発見されたんですね。つまり、アノマロカリスは、カンブリア紀に個体数が急激に減少しただけで、絶滅はしてなかった。第一線は退いたものの、細々と生き続けていた。ピカイアもアノマロカリスも、どちらも幸せな種だった。そして、対等だった。

マジョリティーの道、マイノリティーの道、どちらも幸せであっていいんです。立場が逆転したら復讐するのは、弱者のすること。強者になりましょう。そもそも、自分自身が幸せになること、これ以上の逆襲がありますか?